新型コロナウィルスと危機感の落差

  • この間、新型コロナウィルスへのリスク対策の提言を続けているが、現時点では、島根県内の介護事業所からは感染発生の報告はあがっていない。
    そのため、事業主の側の危機感にはかなりのばらつきがあるが、今は、ウィルス侵入の危険と背中合わせの状況にあることは間違いないのだ。

  • 事業主の方々に分かっていただきたいのは、かりに所内感染が発生すれば、一時休業が避けられず、経営面でこうむる痛手は多大であること、また、いったん休業した場合には、ウィルス終息後、従前の状態に復調するまでには、相当の期間と少なくない赤字を覚悟せねばならないことである。
    それなら、費用対効果という観点から見ても、今、最善の防疫対策を行い、リスク管理を徹底することの方がずっと得策ではないのか。たとえムダに終わったとしても、その姿勢が、利用者や家族の信頼をつなぎとめることになるのだから。

  • もうひとつ心配されるのは、事業主と現場のスタッフとの間に、かなりの危機感の落差が見受けられることである。
    今回のような非常事態にあっては、はじめは個々のスタッフの危機感にばらつきがあり、厳しい取り組みに不満の声があがったとしても、一つの目標に向かって共同の作業を行う中で、急速に足並みはそろっていくし、そのことが結果的に最上の研修・訓練となっていく。
    逆に、事業主の対応が生ぬるければ、現場のモチベーションが著しく低下し、今後の事業運営にも悪影響を及ぼしかねない。言い方は悪いが、今は自らを鞭打つべき時期なのだ。

新型コロナウィルス対策・ディサービスにできること(続)

  • 先日のコラムでは、ディサービスにできることして、“3密”状態の緩和への取り組みを提案した。
    その必要性については、大方に同意いただけるはずだが、いざ実施にあたっては、収支の悪化を懸念して二の足を踏む事業所も少なくないと思う。

  • 実は、本会が関係する入浴特化型短時間ディサービス『フロディいずも』(出雲市塩冶有原町)では、出雲市内での感染者の発生を受けて、すでに従来の乗り合わせ送迎から個別送迎に切り替えている。
    当然必要となる増員・増車については前もって準備はしていたが、それでも午前・午後の2部制を取る『フロディいずも』にとって、限られた時間内での個別送迎の実行が難儀であったことは間違いない。

  • ところが実際には、個別送迎への切り替えをお知らせしたところ、意外にも家族での送迎協力の申し出が十数件あったのだ。
    「案ずるより産むが安し」とはこのことだが、その一方で、いつのまにか「介護は、本人・家族とスタッフの共同作業」という原点を忘れ、この非常事態を自分たちの力だけで乗りきろうとしていた独善を思い知らされもした。

  • ディサービスが、利用者や家族とともに取り組まねばならないもうひとつの課題がある。
    それは、利用者の行動履歴の確認である。中・重度者はともかく、軽度者や要支援者の日常の行動範囲は必ずしも狭くはない。
    そして、立ち回り先の中には、濃厚接触の機会が多いパチンコや居酒屋、ゲームセンターなどが含まれることがある。

  • ディサービスの新型コロナウィルス対策では、利用者から利用者への感染経路を絶つことが決定的な意味を持っている。
    そのおそれのある行動の自粛を求めることは、利用者のプライバシーに踏み込むきらいはあるが、家族を交えた話し合いを持つことによって、不承不承にせよ、本人の納得が得られた実例もある。
    とにかく今は、利用者を守り、職員を守り、職場を守るために、労を惜しまず、手立てを尽くすしかない。