介護サービス“ウィズ・コロナ”(2)“ウィズ・コロナ”への脱皮

  • 介護業界が直面する課題は、経営的苦境の打開である。
    新型コロナウィルスの感染や濃厚接触が発生した介護事業所が、一時的な閉鎖に追い込まれるだけではなく、そうでない事業所でも、漠然とした集団感染への不安からサービス利用を自制する動きが拡がっている。
    この動きは、通所系と短期入所系のサービスで特に目立っており、今後、第2波、第3波と続けば、やむなく廃業を選択する事業所も現れてくるに違いない。
  • こうした窮地から脱け出すには、利用者や家族、ケアマネージャーなどの関係者の安全性に対する信頼を取り戻していくしかないが、相手が目に見えないウィルスだけに、パーフェクトな安全を保障できないという弱みが残る。
    とにもかくにも現場では、少しでも感染リスクを引き下げるためにできるだけの努力を重ねていくしかない。ディサービスを例に取れば、通常の感染防止対策にとどまらず、一時的な利用定員の縮小や個別送迎の実施、リクリエーション・プログラムの変更などにまで踏み込みたいところだ。
    場合によっては、午前・午後の2単位制に再編して、滞在時間を短縮し、かつ食事の提供を中止することも考えられていいのではないか。
  • サービス利用の自制が影響するのは、事業経営だけではなく、利用者本人の体力と気力の減退も気にかけずにはいられない。
    介護現場と家にこもる利用者との交流を絶やさないために考えたいのが、《オンライン介護サービス》の導入である。
    比較的軽度の利用者を主な対象として、リモート画面を通じた機能訓練や各種ゲーム、健康管理などのプログラムの開発が、複数の企業で進められているようだが、いまどきの高齢者であれば、新しいシステムになじむこともそう難しくないように思える。
    本人の意欲の保持と効果の測定という課題は残るものの、在宅で現場でのサービスを部分的に肩代わりすることができるようになれば、その効用は大きい。
    ただし、《オンライン介護サービス》を普及させていくためには、報酬面での対応が不可欠であることは言うまでもない。
  • “ウィズ・コロナ”に適合したサービス・スタイルへの転換が必要であることは、総論的には多くの介護事業者が理解しているはずだ。
    すでにコロナ禍でかなりの痛手を負っているところに、これらの新しい取り組みを始めていくことは、経営面での負担が大きいことは確かだが、国の「緊急包括支援交付金(介護分)」も財源として活用できる。
    “ウィズ・コロナ”の新業態を開拓していくために、ぜひ前向きの姿勢を取っていきたい。

介護サービス“ウィズ・コロナ”(1)3密防止の皮肉

  • 新型コロナウィルスが蔓延する今日の事態は、特効薬や予防ワクチンの開発、集団免疫の拡散によって、やがては収束に向かうかも知れない。
    しかし、まったく見通しが立たない現時点では、ウィルスの常在を前提とした生活や仕事のありかた=“ウィズ・コロナ”を模索していくしかないように思える。
    ただ、「窮すれば通ず」は、古来のことわりである。
    “ウィズ・コロナ”の創意工夫は、既存の業態を革新し、競争力を強化できる、またとないビジネス・チャンスにつながると考えたい。
  • コロナ禍によって、介護現場も変化を迫られている。
    感染防止のために3密を避けたケアが求められているが、そのことは、皮肉にもいままで介護の基本とされてきた利用者と職員の“ふれあい”の見直しを迫ることになった。
    そして、もっと皮肉なことに、こうした“ふれあい”を省略したケアを、多くの利用者が受け入れ始めているのである。
  • 介護に真剣に向き合ってきた人たちを傷つけることがあってはならないが、“ウィズ・コロナ”の介護は、従来のサービスの過剰な要素を切り落とし、利用者の自主性を尊重する方向へ進みそうな気がする。
    それはまた、慢性的な人手不足に苦しむ介護業界が、IOTの活用によって省力化を図ろうとしている方向と重なり合っているようにも思える。